観察日記

頑張って生きてます

無題

森の中を進む。じぶんが今どこにいるのかわからない。日が暮れる前に町まで下らないと、と焦る。道なりに木々の間を進んで行くと少し開けた場所に出た。神社のような建物があって周りで子供達が何人か遊んでいる。森のど真ん中になんでこんな建物があるんだろうと思ったが、人を見て安心した。大人を探したが見当たらない。子供達に話しかけても、まるで聞こえていないかのように無視されるので、仕方なく神社の境内に入ってみようとしたが、許可なく入っていいもんなのかわからず躊躇していると、1人の男の子が話しかけてきた。

「誰もいないよ」

驚いて返事に迷っていると、走って行ってしまった。

祟りなんかが心配だったが、誰もいないならそれでもいいし、誰かいたら道を聞こうと境内の門を開けた。外はまだ明るいのに、中は真っ暗だった。開けた門から差し込む光で見えたのは、立派な外見と違って腐りきってボロボロの床と、汚らしい仏像。だが、仏像の前にはまだ真新しいお米のようなものが供えられていた。なんだか悪寒がしてすぐ門を閉めた。振り返ると子供達が遊ぶのをやめて全員こっちをみていた。

怖くなって走って逃げた。いくら逃げても、子供達の目がフラッシュバックして走るのをやめられない。いつの間にか日が暮れていた。疲れ切って止まると、足が痙攣して仰向けに倒れ込んだ。木々に邪魔をされ空が狭い。

眠ってしまっていたようだった。夜なのはわかるが時計がないので何時かわからない。今更気づいたが、財布も携帯も持っていない。

「帰りてぇ」

呟いたあと、本当に帰りたいか?と疑問に思った。 目を瞑って考えてみる。重力を感じる。ゆっくりと、体の背面が地面と一体化していく。そしてだんだんと沈んで、体の感覚が消えた。